「背中をあずける」



 初めて剣を持った時、これからは独りで戦っていくのだと思った。
 背負った痛みと、魔物に侵食されていくこの世界と。
 単身アリアハンへやって来た時も、誰とも馴れ合おうとせず、独りで剣を振るった。弱い背中を誰にも向けまいと。
 肩肘張って生きていた自分に、それじゃ疲れるんじゃない? と尋ねてきたのは、モエギだった。
 裏表がなく、常に自分に正直なモエギと対話しているうちに、不思議とモエギには背中を預けてもいいと思えるようになった。
 それからずっと、モエギに背中を預けてきた。言葉にせずとも、いつもモエギの存在に救われていた。
 それだけでも十分だったけれど、いつしか背中を預けられる存在は、増えていた。
 弱い自分を捨てるために剣を手にした時の、あの闇のような思いはもう、消え去りつつある。
 預けた背中に伝わるぬくもりは、どれも温かい――

お題提供・DOGOD69