唯一の責任 2



 目覚めてから数日の間は、寝起き以外ろくなことが出来ず、ルイーダや酒場に登録している冒険者の女性たちがかわるがわる世話を焼いてくれた。
 その中で分かった事実は、荒波を漂っていたアリエルを救い上げてくれたのが、サマンオサ大陸南の海域を縄張りとしている海賊たちだったこと、父から聞いていたアルトという青年とその一行は既に、別の国へ発っていったことだった。
 ルイーダは、父サイモンの旧友である、アリアハンの英雄オルテガの話をよくしてくれた。父はその息子であるアルトが、仲間たちと共に魔王討伐の旅をしていると言っていた。彼らならば、サマンオサの危機に力を貸してくれると思い、父は望みを託したのだろう。
 海賊たちからも事情を聞いているのだろう、ルイーダたちは、何故危険を冒してまでアリアハンを目指したのか、何故アルトに会う必要があるのかをやぶからぼうに尋ねてはこなかった。
 だが、アリエルの意識が戻ってから一週間が経ち、身体の調子が大分戻った頃、ルイーダは朝食を片付けに来ると問いかけてきた。
「そろそろ、あんたの口から聞いてもいいかい? サマンオサで、一体何が起こっているのかを」
 ベッドの上で粥しか食べられなかったアリエルも、この日はテーブルに着き、焼きたてのパンと野菜のポタージュをきれいに平らげていた。久しぶりに幸福な気持ちで食事を終えた直後のことで、アリエルはしばし言葉を失くした。ルイーダは空いている向かいの席に腰を下ろす。
「海賊たちは、自分たちもサマンオサの現王政から弾圧されているからって、根城を守るために戻っていったけど……あんたのことをひどく心配していたよ」
 彼らのことはぼんやりとしか覚えていないが、かつて父サイモンが国側からうとましがられていた海賊との仲を取り持ち、不干渉条約を結ばせたことは知っていた。彼らなりに、父とその娘であるアリエルには義理があるだろう。
 アリエルは、目まぐるしく変貌していった、サマンオサの有様を思い返した。たちまち目の前が暗くなり、息苦しさを覚えたが、これも自分の使命だ。
「……分かりました。わたしが知っている限りのことを、お話しします」



 事の始まりは、諸国の王の中でも穏健で、『賢王』と呼び名の高かったサマンオサ国王が、魔物討伐のために大々的な徴兵令を出したことだった。
 魔物の討伐は元々、城の近衛隊及び兵士団が国内とその近辺で行っていた。だが、徴兵令では国内の成人男性で、兵士団に属していない一般民も駆り出されることとなり、さらに派遣区域を各国へと大幅に広げたものだった。
 それに伴い、多額の軍事費を投入し、増税を行うこととなったため、国民は突然の政策に戸惑いを隠せなかった。そんな中、施策を執り仕切った政務大臣に対し、真っ先に反論したのが、近衛隊長のサイモンであった。
 だが、政務大臣は取り合わず、サイモンがかつて魔王バラモスを討てず、おめおめと帰還した過去を公然の場でなじっただけだけであった。
「サイモン様が……? それは、オルテガ様がサイモン様を思って故郷へ帰して、独りでバラモスの懐へ飛び込んでいったからだって、アタシは聞いていたけどねえ」
 訝るルイーダに、アリエルは深くうなずく。
「ルイーダさんの言う通り、父も同じことを言っていました。父は大臣の言葉から、国政の異変を感じ、わたしとシゲルに『国がおかしい、万が一のことがあったら私に構わず逃げて、生き延びろ』と早くから言い聞かせていました」
 ルイーダは切れ長の瞳を瞬かせ、「シゲルっていうのは?」と尋ねてきた。
 アリエルの脳裏に、最後にシゲルと別れた日の記憶が鮮明に蘇り、無意識のうちに自分の腕を抱いていた。
「シゲルは……わたしの、血のつながらない兄です」
 元々、アリエルとシゲルは母親同士仲が良く、家族ぐるみで付き合いがあった。ところが、まだシゲルが幼い頃、彼の家族が出先で魔物に襲われ、母と妹が命を落とし、父も重傷を負い後を追うようにしてこの世を去った。その時シゲルは熱を出して、アリエルの家で寝込んでいたため、皮肉にも難を逃れたのだ。
 いっぺんに家族を失ったシゲルがいたたまれず、サイモンはシゲルを養子として引き取り、同い年ながら生まれの遅いアリエルの『兄』として、育てることにした。それから数年後、アリエルの母が病死して以来、三人で支え合いながら生きてきたのだった。
「シゲルは、本当のお父さん、お母さんや妹のことをあまり覚えていなかったけれど、魔物を許さない気持ちは人の何倍も強くて、兵士団に入れるようになる十二の時に、真っ先に入団していきました」
 だが、シゲルはいつも陽気で明るく、普段は魔物への憎しみなど微塵も感じさせなかった。時折、心の闇を覗かせることはあったが、それよりもアリエルが落ち込んでいる時にわざとふざけたりして、励ましてくれる優しさの方が、断然勝っていた。
 シゲルが笑いかけてくれると、太陽のような笑顔と共に、黒い髪がさらさらと揺れる。兄のはずなのに、アリエルは成長するにつれ、シゲルを兄ではない、もっと別の存在のように感じることが増えていった。
 別れ際に残した、シゲルの言葉を思い出すと、アリエルの胸は痛切に絞られる。
 ルイーダが話の続きを待っていることに気付くと、アリエルはひとつ息をついて続けた。
「父は、兵士ではない人たちが駆り出されることを嫌がり、部下の人たちの中で希望者を募って、討伐隊を組んで出兵するだけに留めようとしました。だけど、部下の人にわいろを持たせてその策に出たと、濡れ衣を着せられて、投獄されてしまったんです」
「濡れ衣だってのに、投獄された? 何でまた、あのサイモン様が……」
 腑に落ちない様子のルイーダに、アリエルも唇を噛み、答えた。
「実際に、わいろの品を、部下の人が政務大臣に見せたそうです。きっと、大臣の息がかかった人がそうしたんです。だけど、父は悪あがきをしようものなら、部下の人たちも同罪で投獄すると脅され、一人で無実の罪を被ったんです……」
 目を伏せるアリエルに、ルイーダは拳を震わせ、苦々しく吐き捨てた。
「その大臣とやら、何だってそんなにサイモン様を追い出すような真似をするのさ! あんたのお父様は、サマンオサの英雄でしょ!」
 そこでふと、ルイーダは考え込むようにして黙り込んだ。アリエルはルイーダの様子を気にしつつ、話を再開した。
「父が投獄されたのは、見せしめだったのかもしれません。真っ向から反論する人がいなくなり、徴兵令が施行されると、沢山の男の人たちが一般兵として集められました。増税が課され、働き手の人たちが元々の仕事を離れると、たちまちわたしたち国民の生活は苦しくなり、盗みや略奪が目立つようになりました」
 国民の貧困は、同時に治安の悪化を招く。残された女子供はろくに外出も出来ず、家の中でおびえて暮らすこととなった。
「こうなることくらい、賢王と呼ばれた国王様なら絶対に分かるはずなのに、どうして政務大臣のいいようにさせているのか、わたしたちは困惑するばかりで……次に反発したのが、シゲルでした」
 シゲルもまた、兵士団の一員として国外に派遣される身ではあったが、サイモンの投獄や悪政を、持ち前の正義感が許さなかった。
 シゲルは単身、政務大臣にサマンオサの国政がおかしいと指摘した。すると、大臣はこう返したという。
『諸国は、魔王バラモスの邪悪な力が及ぶのを恐れ、ほとんど手を打てていない。今、サマンオサが国を挙げ世界に貢献することが出来れば、この国の権威は随一となり、ますます世界に幅を利かせる大国へと発展するだろう』――
 だが、シゲルは尚も食い下がった。そのために国政が不安定になること、民を無視した、真っ当な政治ではないことを臆せず訴えた。
「父は、国政に意見する権限を持っていましたが、いくら父の息子とはいえ、シゲルのような一兵がそんな口を利けば、たちまち反逆者として投獄されてしまいます。
 ですが、大臣はシゲルが父の息子であることを逆手に取って、卑劣な手に出たんです……」
 木綿のローブの裾ををきつく握りしめ、アリエルは大臣が突き付けた条件を重々しく語った。
「大臣は、シゲルと一緒に、わたしも投獄すると言ったそうです。だけど、シゲルが大臣に従うなら、わたしは見逃してやる、って……」
「サイモン様が罪に問われれば、その意志を引き継いでいるあんたたちも同罪ってことか」
 アリエルは力なくうなずいた。
「だけど、投獄されてしまうと、生き延びれるかは分からない……。だから、シゲルは大臣に従うことを選んだんです。そして、わたしと別れる日に、家で一緒に、これからのことを話して……」
 最後にシゲルと過ごしたのは、窓が軋む程風の強い夜だった。乏しい食材で精一杯のごちそうを作り、シゲルと束の間の団らんを楽しんだ。
 出立はその日のうちにと言い渡されており、アリエルは玄関口に立ったシゲルを見送る際、こう告げられた。
『お前は、おれと違って、本当の義父さんの娘だ。この国にいたら、遅かれ早かれ狙われる。だから、おれや義父さんに構わず、この国を出るんだ』
 その時のアリエルは、次々と起こる出来事に打ちのめされ、一日を生きるのもやっとな程ふさぎ込んでいた。父やシゲルを悪政の下に残して亡命することなど出来ない、と泣きじゃくった。
 すると、シゲルはアリエルを自分のもとに引き寄せ、力強く抱きしめた。家族の抱擁とは全く違う、燃え上がるようなシゲルの体温を感じた。
 驚きのあまり言葉も出ないアリエルに、シゲルはあくまで明るく振る舞った。
『おれは、お前さえいてくれれば、たとえ離れ離れになっても生きていける。だから、お前には、どうやってでも生き延びて欲しいんだ。
 だから、泣くなよ……アリエル』
 シゲルの言葉に反し、とめどなく熱い涙が溢れ、アリエルはシゲルの温かさを忘れまいと、固く抱き合っていた。
「……大丈夫かい?」
 我に返ると、頬には涙が伝い、ルイーダが頭を撫でてくれていた。昔、シゲルも、アリエルが泣いているとよく、くせっ毛の髪を同じように梳いてくれた。
 シゲルは、今どうしているのだろう。さぞかし心細い日々を送っているだろう、本当は今すぐにでも、会いに行けたらいいのに――
 シゲルへの想いが胸に満ち、アリエルはしばらくの間、嗚咽を漏らした。ルイーダは何も言わず、ずっと手を乗せたままでいてくれた。
 涙がおさまると、優しい声音でルイーダがなぐさめてくれた。
「……それで、あんたは、あの国を出たんだね」
 アリエルは濡れた頬を丁寧に拭うと、口を開いた。
「はい……。だけど、その前に、父が会いに来てくれました」
 ルイーダが途端にぎょっとするのも、無理はない。アリエルは事情を説明した。
 シゲルと別れてからすぐ、兵士たちの出兵が始まった。しかし、ある隊は魔物の集団を前に全滅し、またある隊は海上で船ごと沈没した。
 日に日に死者は増え、教会の裏の墓地には、数えきれない程の墓標が立てられた。精霊神ルビスの加護を受けた教会は、そうやすやすと大臣たちも手が出せないため、家を追われた女子供や老人たちが集まっていた。
 アリエルも同じようにして身を寄せ、神父と共に人々の世話をしつつ、亡命の準備をしていたのだが、そこに脱獄を図った父サイモンが人目を忍んで会いに来てくれたのだ。
 父は見るからに疲弊していたが、瞳にはまだ生命の灯を燃やしていた。父は牢獄の中で、誰も知らぬ事実を目の当たりにしてきた。
「父は、こう言いました。
『今、玉座に就いているのは本当の国王様ではない。偽の国王がなりすまし、政務大臣を操ってこの国を破滅に導こうとしているのだ。そして、国王様はあろうことか、城の牢獄の奥深くに幽閉されているのだ』、と」
 ますます目を見張り、身を乗り出すルイーダを、アリエルは真っ直ぐ見つめた。
「父は、偽王を暴くには、それを民衆に報せ、白日の下に晒せと言い、そのためにオルテガ様の息子である、アルトを頼れと言い残したんです」
 サイモンはすぐにアリエルのもとを去り、それ以来消息は不明なままだ。命がけで会いに来てくれた父の思いを無下にするまいと、アリエルは男装して兵士団に紛れ込み、ランシール行きの船に乗り込んだ。アリアハンを経由する際に、隙を見て上陸するつもりだったのだ。
「ですが、サマンオサ南部の海域で大嵐に遭い、身を投げ出されて……。わたし、海賊の人たちに助けられなければ、今頃こうしていなかった。もし会えたら、お礼を言わないと」
 微かに、海の生臭い香りに抱かれていたのが記憶に残っているくらいで、彼らの顔もよく思い出せない。
 ここで、いつまでも世話になってはいられない。早く、何とかしなければ、父やシゲルは――
 焦燥感を感じ取ったのか、ルイーダは立ち上がると、アリエルのそばに膝をつき、小さな手を両手で包み込んでさすった。女性の手だが、剣だこらしき硬さがあった。
「……辛かったね。話してくれて、ありがとうね。
 だけど、あんたはまだ、身体も心もちゃんと元気になっていない。
 アルトたちは、あの子たちの目的があるからすぐには会えないかもしれないけど、なるべく早く会えるよう、手を尽くすよ。あの子たちはきっと、あんたの辛さをよく分かって、絶対に助けてくれるからさ」
 片目をつぶってみせるルイーダに、アリエルは瞳を潤ませ、両手を握り返した。
 常春の国アリアハンの、うららかな陽射しが、部屋に満ちていた。



 アリエルが起き上がり、身の回りのことを難なくこなせるようになっても、ルイーダは世話をさせている女性たち以外には、アリエルを人目に触れさせないよう配慮していた。
 島国のアリアハンとはいえど、鎖国を取り止めてから一年経つ。諸国から出入りする者にルイーダの酒場の利用者は多く、その中にサマンオサからの密偵が潜んでいる可能性が高いからだという。
 だが、アリエルはサマンオサの現状に通じており、またサイモンの実子ということもあるため、酒場でひっそり匿われているだけの立場がどうにも心苦しかった。そのため、自らアリアハンの国王に謁見し、事の次第を伝える義務があるとルイーダに訴えた。
 ルイーダもその必要性は重々承知していたため、国王側とかけ合い日取りを決めると、登城に同行してくれることとなった。
 酒場の冒険者たちが出払っている時を見計らい、アリエルはルイーダに連れられ、久しぶりに外に出た。その時不運にも、酒場の者らしい、いかつい戦士の男と出くわしてしまったが、アリエルはフードを目深に被っていたため、ルイーダに心配することないよ、と声をかけられ安堵した。
 アリアハンの王城は、所々に光が射し込むよう造られており、赤と金を基調とした城内はサマンオサの王城と異なり、華やかで明るさに満ちていた。
 ルイーダは城内の人々とも顔見知りのようで、物怖じせず堂々と進んでいった。時折にこやかに話しかけてくる兵士や侍女たちを目にし、アリエルは昔、父とサマンオサ国王に謁見した時のことを思い返した。
 あの頃は、サマンオサの城内も同じように、温かな微笑みに満ちていたのに――アリエルは軽く礼をするだけで、人々から顔を背け、後をついていった。
 事前に話が通っていたためか、謁見は応接室にて行われた。待っていたのは、父サイモンとさほど歳の変わらない、まだ年若い国王と、浅葱色のローブに身を包んだ丸眼鏡の老人だった。
 国王と、元政治顧問だというソイと名乗る老人は、まずアリエルの無事と今までの苦労を労い、不穏な情勢の中亡命した勇気ある行動を称えた。アリエルには恐れ多いことだったが、海賊たちや、ルイーダのお陰でここにいると返した。
 アリエルはルイーダの弁を交えつつ、サマンオサの悪政や、父サイモン、義兄シゲルが置かれている状況について説明した。国王たちは、国民を顧みない政策に憤り、時にやるせなさに満ちた表情で、アリエルの話に聞き入った。
 国王は、アリアハンからも調査団を派遣したが、帰還した者たちが皆原因不明の病で亡くなったことと、出兵した者たちが軒並み死亡していることが不可解だと見解を示した。だが、まずは早急にアルト一行を呼び戻し、彼らと共にサマンオサを救う算段を整えるよう、力を尽くすことを約束してくれた。
 アルトたちの行方については、ソイがアリアハンと親交の深いダーマ神殿にかけ合い、帰還の要求をするという。さらに、アルトたちもサマンオサの情勢をひどく気にかけていたと知り、アリエルは未だ見ぬ彼らに会うことを切望した。
 国王たちに謝辞を述べ、帰路につく間、アリエルはルイーダに尋ねてみた。
「ルイーダさん。アルトや、その仲間の人たちは、どんな人なの?」
 アリアハンで世話になる間は、もう一人の母親だと思って甘えな、と胸を叩いてくれたルイーダは、そうだねえ……と遠い目をした。
「アルトは、あんたと少し似てるかな。真っすぐで、決して屈しない意志を持つ子だよ」
「他の人は? 女の人もいるって、マリリンさんが言ってた」
 世話焼きの魔法使いの名を挙げ、矢継ぎ早に質問すると、ルイーダの目尻のしわが深くなった。
「いるよ。前に、うちの酒場にいた子が二人。モエギっていう、童顔なんだけど元気で面倒見のいい子と、サーラ……今は、アルトの恋人だね」
 恋人という響きに、何故かシゲルの顔が頭をよぎり、アリエルはふるふるとかぶりを振って気を持ち直した。
「アルトの、恋人……。きっと、素敵な方なのね」
 そうだね、とルイーダは深くうなずいた。緑に彩られた町並みと、かけっこをして無邪気にはしゃぎ回る子供たちが視界に入り、わずかにうらめしさを感じてしまう。
「色々あったみたいでさ。聞ける時があれば、馴れ初めを聞いてごらん。二人とも顔を真っ赤にするだろうさ」
 茶目っ気たっぷりにルイーダが笑う。胸にさした暗い思いはすぐに去り、じわりと胸が熱くなるのを感じながら、アリエルはふと首を傾げた。
「あれ? 確かもう一人、仲間の人がいるんでしょう?」
 ルイーダはそうそう、と手を打った。
「もう一人は、ジャックっていう調子のいいぼうやでね。一応、ダーマ神殿の大神官の孫で、『銀の賢者』っていう肩書きを持っているんだけど、最初はとてもそう思えないだろうね!」
 あっさり言い切り、ルイーダは愉快そうに肩を揺らした。そんな風に言われると、一体どんな人なのだろう、と想像が膨らむ。少なくとも、ルイーダの楽しげな口振りからすると、気のいい人たちなのだろう。
 アルトたちは、あくまで協力を請う存在ではある。だが、シゲルを除き、歳の近い友人がほとんどいなかったアリエルには、願わくば自分もその仲間になりたい、という思いが芽生えたのだった。